現状の日本のモノヅクリ一般に対する警鐘として十分に価値のある内容のように思える。
ただし、まず残念なことをお伝えしなければならない。
Kobunsya Paper back とやらの駄目な編集のせいで、ある一定の語句の後に無意味な英訳が書かれている。とても気分が悪いので、☆をひとつ減らして、☆三つとしたい。(本当は2つ減らしたかった位だ)
そうとはいえ、なかなかに面白い本だったといえる。特に、最近買いたい VAIO 全くねーなーと思っていらっしゃる方には必見である。
技術が消えブランドだけが残った!と背表紙にあるが、実のない名だけの企業となってしまった経緯が、内部から生々しく描かれている。
この本は6章構成になっていて、それぞれに多少は被るがエピソードや著者意見が書かれている形式になっている。
以下は自分の思いと著者の考えの相違点など書いてみたので参考にしてほしい。
・1 栄光の VAIO
505、C1以降の破竹のVAIO と象徴するエピソードについて書かれている。特に C1 の発表時の息を呑むような様子は生き生きと描かれており心地よい。
ただし、当時の VAIO を追っかけていない読者にはまったくついていけないだろう。
以下、著者への反論である。
> VAIO は高くても売れた
とあるけれど、これはとんだ見識違いだと思う。
特に 505 なんて、ほかの同等スペック(数字上)で26万のところ23万程度の激安品で、しかもマグネシウムボディだった。
ほとんどの VAIO が、高スペックのわりに NEC / Fujitsu よりもずっと安いプライシングで出ていたと記憶している。
さて、VAIO 専用ソフトウェアなどの付加価値の部分は、壁紙以外は全く魅力を感じなかったなぁ個人的には。
自分の所持している 505 / PCV-M3xx / VAIO NOTE Z / 親、祖父母に買わせた W など、本書内で(つまり開発している内部の人間から見ても)高評価であり、自分の目もたいしたものだと思った。
・2 失速する VAIO
カンパニー制の弊害、マニアからの離脱、VAIO あNOTE Z の中止命令、VAIO 第二章の失敗、激安への道 などについて書かれている。
> 激安路線
とあるけれど、ぜんぜん激安じゃない。プラっぽくて安っちいし、集積度もたいしたことない筐体に低スペック載せてそこそこの値段で出す・というのはぜんぜん激安とは違う。
尖ったものが少ないだけでなく、事務機としても中途半端を極めた時期で、ブランド威光買い・といったところが正しいのではないかと思う。 あと、他社の廉価モデルのつくりが酷すぎたというのもあると思う。
> VAIO NOTE Z の中止命令
2ちゃんねる などでおおよその様子は把握していたので、”やっぱりか・・・”といったところだ。自分の所持するシリーズの末路がこんなに悲惨な結末だなんて、愛着があるだけに悲しくて堪らない気持ちだ。
> VAIO 第二章の失敗
次期 505 がリリースできなかったこと、次期 Z が TYPE-B などというヘタレでごまかされたこと、次期 C1 が出なかったこと、 次期 MX が出なかったことが主因だろう。
Type-X なんて、価格が高すぎて、相対価値が高いとは思えないし、存在価値もあるようには見えない。TYPE-A はカッコ悪い、TYPE-R はまぁ良かった。TYPE-T/S は無難すぎた。そんなところかな。
ビジネスも出るとして、後年 TYPE-BX が出たけれど、遅きに失したと思う。
・3 見せ掛け成果主義
あらゆる成果主義の弊害の羅列と、某有名CEOの駄目っぷり、クターへの弾圧とクター擁護だったように思う。
端的に弊社の現状を見ているようでかなり欝った。
あと、クターをほめる視点は、ユーザ側からすると全く解せない。「芸術家、著名建築家」の例、「高級レストランと社員食堂」の例を考慮すると、この男を評価することは危険とさえ思う。
強い信念は持っている人だとは思うが。
・4 こうして技術を失った。
水平分業の弊害はよく認識すべし・といったところだ。どこも事情は同じはずで、モノヅクリ会社の経営者は必見だ。
実際、これまで私が見てきたどの製造業でも心当たりがいくらでもある。
本田の例などが大いに役立つと思う。
・5 音楽をすてたAVメーカー
コネクソプレーヤーの糞ッぷり、rootkit 問題、 CD900ST 以降の銘作無し と考えると全くもってうなずけるわけだ。フルデジタルAVアンプでは最近好評だったようだけど。
あと、Walkman A は良いと思われる点が1箇所もないのがつらいところ。全くもって一箇所もないのが。 風呂にもっていっちゃいそうなセッケンボディなのだから、せめて防水加工が必要だったのではないか。
・6 さらばソニー
クオリアの自主開発ができなかったこと、その衰退の理由、位置づけとしての正当性などが書かれている。
まぁ、見栄えもそうだけど中身が中途半端だったところが良くないという意見はうなずける。だいたい、200万画素38万円という設定、200万画素が例えばフルサイズ CCD だったり、更に over サイズ だったりすれば、プレミアム価値はあると思うけれどそっちじゃない方向なわけだからどっちらけてしまう。
まぁ、フルサイズだったとしても200万画素じゃ FOVEON でも足らないけれど。
さらに、ソニーの上に位置づけていた QUALIA の撤退により、(主に プロジェクタ、ブラウン管、クリエーションボックスなどの高性納品 以外の駄目製品などのせいで)価値を低めてしまったという事実には愕然とした。 確かに、ソニーより上の位置づけの製品が駄目製品なら、ソニーはもっと駄目という位置づけになってしまうからだ。
てなところです。
詳しくは本書をてにとってみてください。
三星いいですよ三星!
作ってる間は技術者軟禁して信頼性試験
するから嫌でもいいものできまっせ
うひゃひゃ。
まだ samsung 電化製品に疑問視している日本人は多いけど、 samsung のメモリだからといってとやかく言う一般人は居ないからね。
僕はエルピーダのほうがうれしいけど。